マウスピースでチック症状が軽減
小児矯正や成人矯正、歯ぎしりや顎関節症の治療などにも使われるマウスピースが、チック症状を軽減させることが証明されています。
複数の運動チックと音声チックが1年以上続く精神性疾患であるトゥレット症候群。
これまで、トゥレット症候群のチック治療には薬物療法、認知行動療法、脳深部刺激療法などが行なわれています。
しかし、これらによっても症状が改善されず、生活上の困難さやハンディキャップを持ったまま社会生活を送らざるをえない患者さんにとって、新たな治療アプローチが望まれていました。
以下、国際パーキンソン病・運動障害疾患学会誌「Movement Disorders」に公開された研究の概要です。
大阪大学の村上旬平講師(歯学部附属病院障害者歯科治療部)、吉田篤教授(大学院歯学研究科口腔解剖学第二教室)、神戸大学の橘吉寿准教授(医学研究科システム生理学分野)らのグループは、マウスピース(口腔内スプリント)を装着したトゥレット症候群 の患者さんのチックの変化を装着前後で観察し、チック症状が軽減することを証明しました 。
研究グループは、22名の患者でマウスピースを装着したときのチック症状の変化を観察。自己評価レポートやビデオ解析を用いて点数化したところ、70%以上の患者で、マウスピースを装着した後に運動および音声チックが有意に減少することが分かりました。
研究グループによると、マウスピースを装着して咬合すると、閉口筋筋紡錘に生じる筋紡錘感覚が無意識化で増強され、トゥレット症候群のチック症状が減少した可能性が考えられるとのことです。
今後、チックの治療法に取り外し可能で簡便なマウスピースを組み合わせることで、チックによる様々な生活上の困難や他の精神症状も緩和できることが期待されています。
お子さんのチックでお悩みの方、ご相談ください。
お力になれると思います。
2022年05月12日 更新