厚生労働省認定 かかりつけ強化型診療所

きし歯科ファミリークリニックは
大分市賀来にある歯科医院です。

  • 歯科予防
  • 歯科治療
  • お口の健康

トップページブログむし歯予防に大切なこと

むし歯予防に大切なこと

 

「史上最大の暗殺集団デンタルプラーク」  奥田克爾先生の書籍です。

同著に「ミュータンス菌は、砂糖から菌体外のグルカンや菌体内の多糖体を合成してう蝕原性を発生することになるわけですから、ミュータンス菌を感染させること以上に砂糖を含むお菓子を頻繁に口にしないことや砂糖が口に入ったら歯磨きするなどの生活習慣をつけることが大切です。」

と記されています。

砂糖なしではミュータンス菌は悪玉菌になれないのです。

 

むし歯予防には、 ①感染の機会を減らす ②砂糖の量を減らす ③生活リズムを整える ④歯質を強化する

ことが大切です。

 

①感染の機会を減らす

口腔内にう蝕原因菌であるミュータンス連鎖球菌が検出されるのは1歳7ヶ月〜2歳7ヶ月の間で、「感染の窓」と呼ばれる時期です。

ラットを使った研究報告によるとミュータンス連鎖球菌の定着時期を人間に換算して約10ヵ月遅らせると、う蝕の発生率を半分に減少させることができるとしています。菌の定着に関する因子として、①菌量、②頻度、③砂糖の摂取量が挙げられます。むし歯の発生には、家族全員の口腔衛生意識の向上と行動が大きく影響します。親御さんへの口腔衛生指導が重要なのです。子供は親のやることを真似ます。親が歯磨きしないなら子供は磨きません。

 

②砂糖の量を減らす

前述しましたが、う蝕の発生には最初は砂糖の存在が不可欠です。ミュータンス連鎖球菌と砂糖で作られたバイオフィルムは、歯面に強力に付着するため機械的な清掃力を借りなければ除去できません。洗口だけではほとんど除去されません。やがてそれはミュータンス菌以外の口腔細菌も巻き込み、ますます有機酸を産生していくことになります。

そのため、砂糖の摂取量はむし歯と強い関係にあるといえます。1970年に竹内光治先生が書かれた「砂糖の消費量とう蝕罹患率の年次変化について」のグラフはこのことを如実に示しています。

第二次世界大戦中は砂糖の消費が極端に減少しました。むし歯はそれを反映するように減少しています。そして高度経済成長とともに砂糖の消費量は増加し、その後むし歯も増加します。

 

 

③生活リズムを整える

生活リズムを整えることで、子供たちが決まった時間にしっかりと食事をとり、よく遊び、良質の睡眠を獲得できるようになります。それはむし歯予防においても重要なことです。大正時代からある婦人之友社主催の乳幼児グループでは、その頃から「早寝、早起き、朝ご飯」を全国に提唱続けてきました。 そこの子供たちはほとんどむし歯がなく、精神が極めて安定しているとのことです。

幼児期の生活リズムが、年齢が進むほどう蝕罹患率の差となって表れます。

押さえつけて歯磨きをしても生活リズムが乱れていてはむし歯は発生します。歯磨きは大切ですが、デンタルプラークが100% 除去できるわけでは無いからです。粘着性の強いデンタルプラークをいかに作らないかが大切です。それには砂糖の摂取量と生活リズム(時間)が大きく関与します。

 

④歯質を強化する

フッ化物応用は歯質を強化するのに有効です。家庭でできるフッ素先口法は持続できればかなり有効です。歯科医院でしかできないプロケアと家庭でのフッ素洗口でむし歯予防の相乗効果を期待することができます。

 

 

 

小児のむし歯の罹患率は近年減少していますが、大人の忙しく余裕のない毎日が子供たちの健康に様々な悪影響を及ぼしていくことを再認識してもらう必要があると思います。「朝ごはんを食べたか?」と聞くとほとんどの子供が頷きます。しかし、内容は菓子パン1個とかジュース1杯とお菓子とかを真面目な顔で言います。朝ごはんはそのようなものだという意識が定着している証拠です。このような、生活リズムや食生活の乱れ、お菓子やジュースが溢れかえっている現状を鑑みると、今後もこのむし歯の減少状態が続いていくのかが心配です。

 

歯が生えてからの歯医者さん通いではなく、お腹にいる時から母親への啓発指導は始まります。

授乳のこと、離乳食のこと、全身の発達、感覚統合の観点から見た歯磨き指導、鼻呼吸の指導など我々が早期に介入すべきことはたくさんあります。

また、厚生労働省の歯科疾患実態調査は、あくまでも集団検診の結果を反映したものです。最近増加している隣接面のむし歯は視診のみでは発見できません。定期検診の重要性とレントゲン診査による隣接面むし歯のチェックは極めて重要です。

 

子供は、間違った方向に行ってしまうのも早い代わりに、早期に正しい介入をすることで軌道修正できるのも特徴です。

正しい方向に導ける歯科医療従事者になれるよう日々研鑽を積んでいきたいと切に思っています。

 

 

2021年12月12日 更新

お電話でのお問い合わせ