むし歯は治る病気?
「むし歯は治る病気ですか?」って聞かれたら、
大抵の方は、「むし歯を削って詰めたり、被せたりしたら治るでしょ!」って答えられると思います。
でも、正しい答えは「むし歯の原因歯は常在菌なので完治はない。」です。
昭和までは、『削って詰める』治療によって、むし歯は『治る』と考えられていました。
治療が終わった後、昭和の歯科医院での決め台詞は
「はい、治りました。今日で治療はおしまいです。痛くなったらまた来てくださいね」でした。
そして、患者さんは
「やっと終わった。これでしばらくは歯医者に行かなくて済む⋯⋯。」と思っていた方が大半でした。
当時の常識は、「むし歯は治る病気であり、歯科医院は歯が痛くなったら行くところ」でした。
以下、現在の常識になります。
どんな病気においても、『病気の治療は原因を取り除くこと』です。
それはむし歯の治療でも同じで、開いた穴を詰めることは原因除去ではありません。
むし歯の原因は酸を出す口腔常在菌です。
常在菌とは『つねにいる菌』なので、『0』にすることはできません。
『むし歯治療とは、むし歯ができる環境にならないように口腔内を管理すること』です。
管理不十分だと、むし歯は発生します。
だから、むし歯に完治はないのです。
『むし歯菌に一度感染したら、完治することはない』とすれば、どのように向き合えばよいのでしょうか。
先述しましたが、どんな病気においても、病気の予防は原因を取り除くことです。
むし歯の原因を知らなければ、むし歯予防はできません。
“削って詰める”はむし歯の後始末です。
天然歯を守り抜くには、セルフケアとプロケアで口腔常在菌が酸を出さないような口腔環境を守ることです。
生活習慣を含めた正しいセルフケアと定期的な歯科医院でのプロケアを継続していただきたいと思います。
2022年05月19日 更新