むし歯の原因は砂糖だけ?
以前は、むし歯の原因は砂糖(ショ糖)だけと考えられていました。
現在は、むし歯の原因は砂糖(ショ糖)だけではなく、「発酵性糖質」とされています。
発酵性糖質とは、ショ糖だけではなく、ブドウ糖、果糖、調理でんぷんなどがあります。
主に米や麺などに含まれていますので、甘いものだけを控えてもむし歯の発生を防ぐことはできません。
むし歯の原因菌は発酵性糖質(ショ糖、ブドウ糖、果糖、調理でんぷん)を摂取して、酸を産生します。
歯冠部にあるエナメル質のむし歯誘発能は、ショ糖>ブドウ糖、果糖>調理でんぷん、の順でショ糖が最も高いです。
ですから、砂糖の摂取量を少なくすることはむし歯予防には大変効果的です。
一方、高齢者に多い歯根面のむし歯の誘発能には、これほどの差はありません。
つまり、甘い物をそんなに食べてなくてもあまり噛まずに飲み込める炭水化物を多く摂取している高齢者には歯根面のむし歯が激増します。
砂糖消費量とむし歯の発生に正の相関が認められたため、以前は砂糖はむし歯の元凶と考えられ、砂糖摂取の制限がむし歯予防の常識だったのです。
もちろん、何度も言いますが、シュガーコントロールはむし歯予防には必要不可欠です。
しかし、諸外国と比べて日本人は砂糖をあまり摂らないのにむし歯が多いという事実があります。
砂糖消費量とむし歯の数を5ヵ国で比較すると、砂糖消費量が最も少ない日本の子どもで最もむし歯が多い傾向にあるという結果でした。
この理由として、日本人のフッ化物使用頻度が少ないことが挙げられています。
また、「だらだら食べ」も原因と考えられています。
海外では、決められた時間にたくさん甘いものを食べるデザートの文化があります。
一方、日本ではいつでもスナック菓子などを食べてしまう「だらだら食べ」が多くみられます。
「だらだら食べ」は現代の日本人に大変多い食習慣です。
歯が再石灰化する前に食べものを食べ、脱灰の時間ばかりかかって、むし歯ができやすい歯をつくりだしているのです。
「だらだら食べ」の中には、間食や夕食後のジュース、夜食、口の中に長時間入れっぱなしのアメなどが含まれます。
甘いものをこぼしたりすると床などがベタベタになりますよね?そのベタベタが歯にも付着してるのです。
昔の人は、食事は食事として終えて、それ以降はお茶や水などの飲み物以外は口にしませんでした。
しかし現代人は、ありとあらゆる嗜好品を口にできるようになり、その分食べる時間が長くなり、むし歯のリスクが高くなっているのです。
最近のテレビ番組は、大食いやコンビニスイーツやら飲食店巡りやら食べものにまつわるものばかりです。
学生時代によく観ていたキャストで犯人がすぐ分かる単純明快な2時間刑事ドラマがもっと観たいです…(^◇^;)
むし歯予防には、
・「だらだら食べ」をやめること
・フロスを併用した毎日のセルフケア
・定期的な歯科医院でのプロケアの継続
が大変重要です。
2022年05月19日 更新