厚生労働省認定 かかりつけ強化型診療所

きし歯科ファミリークリニックは
大分市賀来にある歯科医院です。

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みそ汁の日〜心にゆとりとぬくもりを

小児歯科医師として、食育の大切さを日々痛感しています。

 

食育というと、「この栄養素を摂るためにはこの食材が良い」といったものを連想される方が多いかもしれませんが、私が考える食育とは「食を通して、生きる力を育む」ことを意味しています。

 

歯科医療を通して身につけて欲しい「生きる力」とは、具体的にはむし歯や歯周病といった病気を自分で予防する力、口腔機能を正常に発達させること、鼻呼吸を習慣化すること、自分の健康は自分で守るという正しい健康観を持つこと、正しい食生活を身につけること、食材を選ぶ目を養うこと、様々な困難を我慢することや自分で乗り越えること等です。

 

※歯科医院での治療って大人でも辛い場合が多いのですから、子どもなら尚更ですよね。

歯科医療を自分で乗り越えれた子どもは、その瞬間に凄く成長することを私達は日々実感しています。

最初は号泣していた子どもが、頑張ってそれを乗り越えた時の満足した顔、待合室のお母さんに「できたよ!」と一目散に報告しに行く姿、私達小児歯科医療従事者はそういった子ども達を見ることに喜びを感じていますし、その子ども達は次からは、名前を呼ぶとひとりで堂々と楽しそうに診療室に入って来れるようになります。

 

歯科医院での経験はその後の人生に大変大きな影響を与えると考えて、優しく、時には厳しく日々診療に取り組んでいます。

子どもの「生きる力」を総合的に育てることができる歯科医院でもありたいと思っています。

 

 

 

「みそ汁の日」という、食を通して子どもの「生きる力」を育む取り組みがあるのでご紹介させていただきます。

 

 

「みそ汁」から生活を変えていこうと「みそ汁の日」を提唱する、長崎県の小学校教諭の福田泰三先生という方がいます。

 

今から10年程前に福田先生が小学5 年生のクラスを受け持った時、一人ひとりは素直でよい子たちでしたが、ボーッとしたり、低体温だったり、お昼近くになるとイライラしたりする子がとても多いことに驚き、生徒に聞いてみたところ、夜更しをして朝起きられず、朝ごはんも食べずに登校していた子どもが多くいたということです。

授業に集中できる「学べる力」を育成しなければ、学力は向上しないと直感し、「早寝、早起き、朝ごはん」を習慣化するため、子どもが自発的に「みそ汁」をつくる取り組みとして、15年程前に「みそ汁の日」を始めたそうです。

 

「みそ汁の日」では、1 週間早起きをして、家族のためにみそ汁をつくることが課題となります。
家庭科の調理実習でみそ汁づくりを習ったあと、1 週間、家族のためにみそ汁をつくることを宿題にします。保護者の協力を得て、ほとんどの子どもたちが、最終日には自分で起き、みそ汁を上手につくれるようにまでなります。

早起きして朝ごはんを食べると、授業の集中力と勉強意欲が格段に上がったそうです

これまで「○○しなさい」ばかりだったお母さんも、子どもに「おいしい、ありがとう」と言葉をかけるようになります。

「ありがとう」は存在を認めてもらえることなのです。自然と子どもたちの心が安定していくのを実感したそうです。

また、福田先生は、いじめをしていた女子児童に「じいちゃんのためにみそ汁をつくってみない?」と投げかけ、その女子児童は毎日みそ汁をつくるようになったそうで、風邪をひいた祖父に「元気になってね」と梅干しみそ汁をあげたところ、おじいちゃんは涙を流して「おいしい、長生きしてよかった」とつぶやいたそうです。

その言葉を聞いて、自分が大切にされていること、いじめていた子も愛してくれる家族がいることに気づき、みんなの前で謝罪したそうです。

友だち関係でイライラして不安だった自分が、こんなにも愛されていると知ったことで、「心の安定」を感じ、おじいちゃんのためにみそ汁をつくったら、とても喜ばれたということで、人が喜ぶことをするという自己有用感も育まれ、彼女の行動が変わっていったのです。

 

暮らしの中の些細な出来事が、子どもの心を育み、将来の「生きる力」につながります。

 

コロナ禍でさらに忙しい今だからこそ、意図的に親子で台所で家事をすることが大事だと私も思います。

子どもは、料理を通して、親の大変さを実感し、できることとできないことがわかり、できることは自信をもって取り組み、できないことは教わりながら身につける自律が育っていき、さらに親の「ぬくもり」も感じることができるのが台所だと思います。

 

「手間をかけることは、愛情をかけること」と声高く言われて久しいです。

しかし、共働きの家庭にとっては、仕事も家事も母親の仕事となると、「手間」が重たい荷物になって料理や子育てが楽しくなくなってしまうと思います。

母親が、過大な頑張りを自分に課すと無理が出てきてしまい、無理をすると「やってあげている」という気持ちにもなってしまうでしょう。

家族の誰もが料理を覚え、子どもも一緒にしていくと、「ありがとう」という言葉が家庭で自然に増えていくと思います。

 

手間をかけるためには、心にゆとりが必要です。

 

ぬくもりが子どもの心を育てます。

 

手間で遠回りのようなことが、実は大切なことって凄く多いと思います。

 

「みそ汁の日」は、子どもの「生きる力」を育む素晴らしい取り組みです。

 

子どもの頃のあらゆる経験は、その後の人生に大変大きな影響を与えます。

 

「みそ汁の日」のような取り組みが当院でもできないかと考えています。

 

 

 

 

 

2022年06月23日 更新

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