より良い顔貌にするための口腔育成・矯正治療
⬆︎イギリスの矯正専門医J.Mewの写真集より
抜歯矯正を行なった10歳半の時と、12歳時の顔貌の変化です。
抜歯矯正により歯列は整いましたが、顔貌は中顔面が後退して鼻が大きく見えます。
眼瞼、口裂が下垂し、明らかに顔貌は悪化しています。
歯列は整ったけれど、口腔機能が低下したため顔貌が悪くなってしまった例です。
抜歯矯正治療でも非抜歯矯正治療でも、歯列の回復だけではなく、口腔機能の改善指導(悪習癖・態癖の改善、口腔育成トレーニング)が必要なのです。
歯列不正により顔貌は大きく変化します。
当院の口腔育成・矯正治療は顔貌をも治療対象としています。
生体には正負の様々なストレス、外力が加わり、発育刺敵となりながら成長を続け生体を維持しています。
木は風が強ければ風の流れる方向に植立方向を変化させます。
天然の鮎は岩に生えた苔を食べますから、顎は上向きに発育します。
養殖の鮎は与えられた餌を拾って食べますから、顎は下向きに成長します。
養殖の鮎(上)と天然の鮎(下)も環境によって顎の向きが変化したのです。
「形態は環境によって変化をする」のが自然の摂理です。
人間の成長は遺伝的要因と環境的要因の相互作用によって決定されます。
遺伝的要因は決定的なものですが、環境要因に対して負の要因をいかに取り除くかが重要な治療です。
では、保護者が一番気にする叢生(ガタガタ歯並び)はなぜ発症するのでしょうか?
発症する原因は主に顎の未発達(成長不足)にあります。
顎に対する発育要因である咀嚼等の口腔機能のさまざまな因子の減退から叢生は発症します。
叢生は歯列に応じた顎に発達していれば発症しません。
正しい個人的な顎に成長できなかったのは、発育刺激の減退が一番の問題です。
哺乳の段階から発育刺激を与える必要があります。
発育刺激の減退は顎の発達だけではなく、咀噌回数の減少に伴う唾液分泌の減少などによる免疫力の低下にも結びつきます。
前咬み・咬断運動力の減少は中顔面の70%を構成する上顎骨の発達に大きく影響し、表情筋を不活性にします。
不正咬合は歯列の問題だけではなく、顔貌を大きく変化させるのです。
顔貌の改善も患者さんが求める新たな歯科治療の範囲だと考えています。
反面、成長が終了してしまっているケースでは骨格的な問題は解決できません。
歯列不正も他の疾患と同様に早期治療が基本です!!
2022年09月18日 更新