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子どもの身長を伸ばすには? 栄養編

「子どもの身長を伸ばすためにはどうしたら良いのか?」について調べた結果と、小児歯科医師としての今までの知識と私見をお伝えするシリーズの2回目。

今回は、「栄養」についてお伝えします。

 

 

ちなみに、子供の将来の身長は、
男の子だと、(父親の身長+母親の身長+13)÷2 +α
女の子は、(父親の身長+母親の身長ー13)÷2 +α 
で、大体の予想を立てることができます。
大切なのは「+α 」を、いかに、本人と、家族で作っていくかだと思います。

 

 

「子どもの身長を伸ばすために!」という強い想いから怪しい栄養学に突っ走ってしまっている保護者も多いようですが、

これさえ食べれば、身長が伸びる!といった完璧な食べ物は存在しません。

しかし、正しい栄養バランスが身長の伸びに大きな影響を与えるのは事実です。

成長期に重要な栄養素を理解して、バランスの良い食生活を心がけていきましょう。

 

身長を伸ばす栄養素、第1位はタンパク質です!
良質な肉、魚、卵、豆類、乳製品をしっかり摂りましょう。

戦後、日本人の平均身長が伸びたのはタンパク質のおかげです。

タンパク質は英語ではプロテインといいますが、これはギリシャ語で“最も重要”を意味します。

タンパク質は骨や筋肉などの材料になります。
また、タンパク質には成長ホルモンの分泌を促す作用もあります。

戦後の日本人の平均身長は、タンパク質の摂取の増加に比例して伸びてきました。

タンパク質の吸収率を上げるためには、一度に摂取するのではなく、こまめに摂ることです。
なぜなら、一度の食事で吸収できるタンパク質の量は、約40~50gだからです。
これ以上摂っても栄養として身体に蓄えることはできないので、毎回の食事でこまめにタンパク質を摂ることを心がけましょう。
また、ビタミンB6を一緒に摂取するのもタンパク質の吸収率を上げる方法です。
ビタミンB6は、タンパク質の代謝に欠かせません。
タンパク質を代謝させてエネルギーを生み出したり、タンパク質が血液や筋肉へと合成するのをサポートします。
ビタミンB6を多く含む食品は、鶏肉、レバー、バナナ、マグロ、カツオ、玄米などです。

 

近年、成長ホルモンの分泌を促す栄養素としてはアミノ酸の「アルギニン」、「α-GPC(α-グリセロホスホコリン)」も注目を浴びており、サプリメントとして多く出回っているようですが、サプリメントとして「アルギニン」、「α-GPC」のみならず他の栄養素も摂取するのは好ましくないと考えています。

 

「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する日本小児内分泌学会の見解(2013年3月29日)によると、
1. カルシウム、鉄、ビタミンDを含んだサプリメントは、これらの栄養要素の不足により、成長が阻害されている場合には栄養要素を補充することにより成長が正常化する可能性はあります。しかし、これらの栄養要素の不足がない場合には、投与しても成長促進するという科学的なデータはありません。

2. 成長ホルモンの分泌を促進するといわれている物質を含むサプリメントの代表的なものは「アルギニン」です。現在販売されているアルギニン製剤の投与量は、成長ホルモンの分泌を十分に上昇させる効果が少ないと考えられています。そのほか、アルギニン以外に宣伝されている物質に関しても、サプリメントとして投与した場合に成長ホルモンの分泌が促進されたという学問的なデータが、信頼できる学術雑誌に報告されたことはありません。

 

とされています。

 

「栄養は自然のものから摂る」ことが基本だと思います。

アルギニンが多く含まれる食べ物は、鶏肉、うなぎ 、にんにく、大豆、納豆(ひきわり)、 高野豆腐 、えび 、ごま

α-GPCは様々な食品に含まれていますが、一般的にその量はごく微量です。

卵(生)の場合は全卵では0.6mg/100g、大豆(乾燥)では2.9mg/100gとされています。バナナヨーグルトにも含まれます。

 

重要なミネラル、カルシウムは、成長期の子どもたちは大人の1.5倍摂る必要があって、
チーズ、ヨーグルト、乾燥わかめ、干しエビ、小松菜などがおすすめです。
カルシウムは、タンパク質などに比べると吸収率の低い栄養素です。
食品の中で最もカルシウムの吸収率が良いのが牛乳で、40%となっています。
次に小魚で33%、野菜は19%となっており、食品によって吸収率がずいぶん違います。
カルシウムは単体では吸収率が悪いのですが、ビタミンDを摂取することで吸収率が高まります。
ビタミンDは、鮭、キノコ類、カツオ節、卵などに多く含まれている栄養素です。
ビタミンDは食品からも摂取できますが、太陽の紫外線を浴びることで皮膚からも作り出すことができます。
外で遊ぶことは、カルシウムの吸収率を上げるのに役立ちます。
カルシウムは重要な栄養素ですが、カルシウムが働きかけるのは骨密度を上げて骨を丈夫にすることであり、「身長を伸ばす=骨端軟骨を成長させる」のに重要な栄養素はタンパク質です。

 

次に、大切なその他のミネラルとしては
亜鉛とマグネシウムです。

亜鉛は身長増加に大切な微量元素です。
(1)亜鉛が欠乏すると身長増加は鈍ります。
亜鉛が全く含まれない食餌で育てられたネズミはからだが小さく寿命も短いそうです。
また、ある国で徴兵検査の際に、身長が高い人と低い人で体内の亜鉛の量を調べてみた結果、
身長の高い人の方が亜鉛の量が多いことが分かりました。
亜鉛は、ホルモンなどの原料になるタンパク質や遺伝子をつくる酵素に含まれています。
また、骨の成長に直接関与しています。
(2)亜鉛が不足すると味覚にも障害が起こります。
日大医学部の富田寛教授は、亜鉛欠乏による味覚障害が増えていると報告されています。
亜鉛が欠乏すると食品の味が分からなくなり、それが食欲減退の原因にもなります。
(3)亜鉛は1日15mg必要です
亜鉛の1日必要量は米国では15mgと設定されています。
成人ではこれを下回っても直ちに身体が変調を来すことはないでしょうが、成長期の子どもでは、これを下回らないほうが良いでしょう。
日本人の食事から摂取される亜鉛は平均で9mg程度ですから、15mgとるには工夫が必要ですし、
またせっかく摂取した亜鉛も食品添加物の影響で体外にでてしまうこともあり注意が必要です。

亜鉛を多く含む食品は、牡蠣、豚レバー、牛赤身肉、小麦胚芽、油揚げ、カシューナッツ、卵です。

 

マグネシウムはカルシウム以上に不足しがちなミネラルですが、特に大切なのが、カルシウムとのバランスです。
カルシウムとマグネシウムの理想のバランスは2対1です。
思春期の子どもでは、カルシウムは1日1000mg程度必要ですが、マグネシウムも500mg必要ということになります。
ところが、マグネシウムの実際の摂取量は150~300mgで不足傾向にあります。
カルシウムだけを大量に摂っていると、余分なカルシウムが排泄され、その際、一緒にマグネシウムも排泄されてしまいます。
そこで不足したマグネシウムは骨から血液中に溶けだしてきますが、その際カルシウムも一緒に溶け出すので、カルシウムだけを大量に摂るとかえって骨のカルシウムが減ってしまうという奇異な現象が起こってしまうのです(これをカルシウムパラドックスと呼びます)。
マグネシウムは、子どもの精神発達にも影響を与え、米国では、凶悪犯罪を起こした子どもの毛髪を分析したら、マグネシウムが少なかったとの報告もあります。

マグネシウムは、ナッツ類、豆腐、納豆、大豆、枝豆、カツオ、ほうれん草に豊富に含まれています。

 

 

タンパク質やカルシウム、マグネシウムなどの栄養素は、身長を伸ばすためには非常に大切ですが、前述しましたが、限られた食品だけで身長が伸びるということはありません。
例えば、卵はタンパク質を多く含んでいますが、同時に脂質も多く含みますので、食べ過ぎには注意が必要です。牛乳はカルシウムが豊富ですが、飲み過ぎると肥満のもとになります。ナッツ類はマグネシウムがたっぷりですが、食べ過ぎると思春期を早めるという説もあります。

日本人はこれが良いと聞くとやり過ぎたり、食べ過ぎたりする傾向にあります。

何事も過ぎたるは猶及ばざるが如しです。
偏らないように様々な食品からバランスよく栄養をとることが大事なのです。

「寝る直前に食事をしない」ことも重要です。
寝る直前に食事をすると、食べたものが胃で消化されない状態で眠ることになり、眠りが浅くなって成長ホルモンがしっかり分泌されない原因となります。
また、胃に食べ物が残って翌朝おなかがすっきりせず朝食を食べられない原因となり生活習慣が乱れる原因となります。夕食は就寝の2時間前までに終わらせておくようにしましょう

 

 

お菓子についてですが、
まず、カロリーが高いですので、太りすぎてしまう可能性が高まり、思春期を早く迎えてしまう可能性が高くなります。肥満の子どもは成長期が短いと言われています。身長の伸びが早い時期に止まってしまうということです。 
次に必要な栄養素がほとんど含まれていないものが多く、お菓子でお腹がいっぱいになってしまうと、きちんとまともな食事ができなくなり、必要な栄養を摂取できなくなり、骨の成長を妨げてしまいます。
また、スナック菓子等は、カルシウムを体外に排出してしまう、「リン酸塩」を含んでいることが多いので、これも骨の成長を妨げる要因になります。
睡眠時に血糖値が上がっている状態だと成長ホルモンは分泌されにくくなってしまいます。

寝る直前に炭水化物、糖質を食べさせるのはNG

早めに、夕食をとり、血糖値の下がった状態で睡眠を取ることが大切です。
ですので、テスト勉強中の夜食は、NOです。
出さないほうが子どものためになります。炭水化物は、睡魔を誘い、結局勉強に集中できません。

お菓子の中には、カフェインやカフェインに似た物質を含むものが多くあり、それらは長いと5時間ほど覚醒作用が持続しますので、午後3時以降にそのようなものを食べないようにした方が良いと思われます。

 

何を食べるか」よりも「いかに楽しく食べるか」が、とても重要です。


楽しんで食べたときと、ストレスを感じながら食べたときでは、吸収量に大きな差がつきます。


特にカルシウムやタンパク質は、リラックスして食べた方が、効率よく吸収できます。
身長を伸ばすには、「楽しく食べる」ことが大切なのです。

 

また、子どもの低身長を専門にされている、ぬかたクリニック院長の額田先生は、

「妊婦の栄養不足による低体重児の増加が平均身長の減少につながっている」として、「母親が妊娠前からやせすぎないことが重要」と指摘されています。

子どもの身長を伸ばすには、出生前から栄養に気をつけることが大切だということです。

 

そして、額田先生はジュースは飲んでも太るだけ、身長は1mmも伸びないとも仰られています。

「現代の子どもは糖分が全然足りていない」という理由で、食事中にジュースを勧める医師もいるようですが、子どもの将来のために食事中のジュースは控えたが良いと思いますし、大学医学部教授の義兄にも確認しましたが、「過剰に糖質を摂取すると身長が伸びるという医学的根拠は無い」とのことでした。

 

人間の身長の伸びが大きくなるのは、生まれてすぐの時期と12歳頃の思春期と呼ばれる時期ですが、思春期に入るまでだってなだらかにですが、身長は伸びているわけです。
つまり、子どもはずっと成長期なのです。


ピークの時期にだけ身長を伸ばす取り組みを実践するのではなく、乳幼児期・学童期から睡眠、栄養、運動の3つ(成長三角形)をしっかりと考慮した生活を送ることが大切と考えています。

そして、母親は出生前から子どもの身長を伸ばすために必要なことをしっかり頭に入れておくことも大切です。

 

医学的根拠のある栄養学を元に、子どもの身長を伸ばす取り組みを実践していただきたいと思います。

 

次回は、「子どもの身長を伸ばすには? 運動と愛情 編」 の予定です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年10月09日 更新

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