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子どもの身長を伸ばすには? 運動と愛情 編

「子どもの身長を伸ばすためにはどうしたら良いのか?」について調べた結果と、小児歯科医師としての今までの知識と私見をお伝えするシリーズの最終回。

今回は、「運動と愛情」についてお伝えします。

 

まず、子どもの身長を伸ばすために必要な「運動」についてです。

身長を伸ばすには適度な運動が不可欠です。

「運動」とひとくくりにいっても、身長を伸ばすために適した運動とそうでない運動が存在します。毎日の適度な運動で、身長が伸びる可能性をしっかりと高めていきましょう。

現代の子ども達は、年々運動の時間が減ってきています。
塾での勉強やテレビゲームやスマホの普及、遊び場の減少など原因はいろいろとありますが、子ども達には思いっきり体を動かし遊ぶことの楽しさを知って欲しいものです。
また、大人も子どもが体を動かすことの重要性の認識をもっと深めていくことが大切です。
子どもの成長に対して、運動が与える影響を列挙します。

・運動が与える骨への影響

骨端線への刺激
骨が成長する時、それぞれの骨の先端にある「骨端線」という部分から骨が伸びていきます。

骨端線は大人になるにつれてなくなってしまい、それと同時に成長が止まってしまいます。

大きく身長が伸びるときには、この骨端線が活発に骨を作っているのです。
例えば走ったり、縄跳びをしたり、運動をすることによって軽い刺激が加わると、骨端線は活発に働き始め、成長を促すと考えられます。

 

・運動が与える筋肉への影響

「姿勢筋」を鍛える
運動を思いっきり、体を大きく使ってすると、背骨や肩甲骨、骨盤などの体の中心に近い部分もしっかり使います。この手足を除いた体の中心部分のことを、「体幹」と呼びます。
体幹の筋力は、良い姿勢を維持する筋力でもあります。つまり、運動をすることによって体幹が鍛えられ、初めて良い姿勢が維持できるようになるのです。

姿勢が悪いということは、心臓や肺、脈管などを圧迫して、血液やリンパ液の流れを妨げます。

さらに消化器系の内臓器官にも影響を及ぼし、消化・吸収が正常に行なわれないことにも繋がってしまいます。
健やかな成長のためには、良い姿勢が不可欠です。

 

・運動が与える内臓・分泌系への影響

食欲の増進
運動をするとたくさんのエネルギーを使うため、食欲が増します。

たくさん良い食事をすれば身長が伸びる上で必要な栄養もしっかり採れるので、よく運動してたくさん食べる子どもの方が成長しやすいのです。
成長ホルモンの分泌を促す
筋肉を使う事で成長ホルモンの分泌を促すことが出来ます。

成長ホルモンは、骨端腺に働きかけて骨を伸ばすように指示をします。

成長ホルモンがたくさん出ていればその分、骨が伸びようとするので、運動をすることで成長を促すことが出来ると考えられるのです。
睡眠の改善
たくさん運動すると、疲れた体を元気にするために質の良い眠りに就くことが出来ます。

そして良い睡眠中には成長ホルモンが大量に出る為、身長が伸びるために最も大切な時間を作ることが出来るのです。

では、どんな運動をすれば、身長増加につながるのでしょうか?
簡潔に言うと、食欲を増進し、熟睡をもたらし、ある程度骨に縦方向の圧力がかかる運動が、身長を伸ばすためには適しています。
具体的には、ジョギング、なわとび、ダンス、バスケットボール、バレーボールなどです。
しかし、好きでもないのに身長を伸ばすためにこれらの運動をするのは好ましくありません。
身長の増加には情緒の安定も大切ですから、お子さんの好きな運動を選ばせてあげることが大切です。

ただし、消耗の激しい過度の運動は、身長の伸びが止まってくる高校生くらいからする方が良いでしょう。

骨の発育には、適度の運動によって骨端線の部分に縦方向の圧力がかかることが必要です。

しかし、圧力が強すぎても(重量挙げなど)骨は縦に伸びにくくなってしまうのです。

子どもにとっての運動は、発育を促す為のものであるべきです。

子どもをシゴくのは良くありません。
バテてしまって、ろくに夕食も食べられないような運動は有害です。
運動のしすぎで疲れて、ろくに食べず、ジュースだけ飲んで朝まで爆睡。
これでは、身長が伸びないばかりか、健康を害してしまいます。
シゴキに耐えられるのは、高校生になってからです。
たとえばマラソン等の長距離走は高校生になってから行なわないと身長増加に悪影響をきたすことがあります。
のびのびと運動を楽しみましょう。

 

 

先述しましたが、子どもの運動時間は、年々減少してきています。

現代の子どもは、明らかに運動不足です。
運動できない理由は、「時間がない」「場所がない」「仲間がいない」などと子ども達は言っていますが、「運動の楽しさを知らない」のも大きな原因のように思われます。
外で、のびのび楽しく、体を動かして遊ぶことを、教えてあげる必要があります。
スマホでのYoutubeの楽しさよりも、鬼ごっこの楽しさを教えてあげましょう。
ゲームソフトは買わない!ボール、なわとび、バット、グローブ、バトミントン、フリスビー、
スポーツシューズなど、子どもが体を動かしたくなるものを、誕生日プレゼントなどには選んでいただきたいと思います。

 

ここで、靴について。

身長を伸ばすために、靴のサイズにも気をつけましょう。
子どもの足は、小学生では1年に8ミリ程度、大きくなります。
靴のサイズは、大きすぎても、小さすぎても不良姿勢の原因になります。
また、足元が不安定だと、身長増加の妨げにもなります。
最近、外反母趾の子どもが増えています。
靴はサイズだけでなく、形にも気を付けて選びましょう。
不適切な靴は外反母趾の原因になります。
足の形が変形していたり不安定であれば、背骨も曲がり気味で、身長が伸びない要因を作ってしまう事になります。

靴の「お下がり」はやめましょう。

「お下がり」を履くことで、前に履いていた子どもの歩き方や足の形がうつってしまう危険性があります。

 

 

それでは、子どもの身長を伸ばすために必要な「愛情」についてです。

 

子どもの成長には、「愛情」が不可欠です。
子どもの身長の伸びには、両親から受ける愛情も大きく影響します。
両親から愛情を受けなかったり、精神状態が悪くなると、脳下垂体から分泌される成長ホルモンの量が減ります。また、食欲が落ちたり、睡眠が浅くなったりすることにも繋がるので、全体的に身長の伸びに悪影響を及ぼしてしまいます。
特に一緒にいる時間の長い母親からの愛情が大切です。

母親からの愛情を受けないと「母性剥奪症候群」と呼ばれる状態になり、特に身長の伸びが悪くなってしまいますので、幼い時期はなるべく子どもの近くにいてあげて、常に愛情を向けてあげていただきたいと思います。

阪神大震災では、不幸にして親を亡くした子ども達が数多くいますが、母親を亡くしたお子さんの身長の伸びは、特に悪かったようです。

また、こういうドイツでの話もあります。

ある一卵性の双子の姉妹のお話です。二人とも優しいお母さんのもとで幸せに暮らしていたのですが、なにかの理由で、両親から離れて暮らすことになりました。
二人は別々の修道院に預けられたのです。
一人は優しい愛情深い尼僧に、一人は意地悪な尼僧に育てられました。

別れ別れになった時、二人の身長はほぼ同じでした。

しかし、数年後に再会した時、二人の身長は全く違っていたのです。
優しい尼僧に育てられた子に比べて、意地悪な尼僧に育てられた子の身長の増加は、とても悪かったのです。

 

子ども達は、親のことをよく見ています
不安な出来事や事件が多い昨今、子ども達は大人の不安感を敏感に感じ取っています。
子ども達が伸びやかに暮らせるよう、明るく愛情に溢れた毎日を心がけていただきたいと思います。

 

子どもの身長の伸びには両親の仲の良さも必要です。

しょっちゅう夫婦ゲンカをしていると、子どもは情緒不安定になり、成長ホルモンの分泌が悪くなります。
また、両親が争っている姿を見ていると、子どもは身の危険を感じ、本能的に早く大人になろうとします。
早く大人になると、身長は伸びなくなります。
成長ホルモンの研究の第一人者の鎮目和夫博士も“両親が夫婦ゲンカばかりしていると、子どもの身長は伸びなくなる”と仰られていました。

 

 

ここで、身長と思春期の関係についてです。

思春期を早く迎えると身長の伸びが早く止まります。

日本人は、早熟を喜ぶ傾向があるようですが、体が早く成熟し成人になるということは、早く身長の伸びが止まってしまうということです。

思春期を迎えるのがあまりに早すぎると、あっという間に大人になってしまいます。
例えば女子では、初潮を迎えると、その後は約6cm前後しか伸びません。

男子でも、声変わりすると、その後はあまり伸びません。
思春期の身長の伸びはめざましく、身長増加のラストスパートと呼ばれています。

しかし、この身長増加のスパートは、身長増加がゴールに達する直前のラストスパートを意味しますので、もうすぐ身長が伸びなくなる前兆なのです。

 

思春期は遅く迎えた方が身長の伸びのためには良いのです。
骨の両端にある軟骨部分、「骨端線」が伸びることによって身長は伸びていくのですが、「骨端線」は徐々に固まりはじめ、最終的に固まってしまった後は、基本的には身長が伸びることはありません。

思春期のスパートを迎えるまでに、いくら身長が伸びたかが、成人に達した時点での身長の高い低いを決定するので、思春期は遅く迎えた方が最終身長は高くなるのです。

欧米人が比較的身長が高いのは、思春期を迎える時期が日本人よりも遅いということも関係しています。
欧米人の方が、大人になるのが遅く、その結果、身長の伸びが止まるのが遅いのです。
中学生までは、日本人と欧米人の身長の差はあまりありません。

ところが、高校生になると日本人はほとんど伸びませんが、欧米人はまだまだ伸び続けます。
日本人の女子は、先進国の中では最も早く初潮を迎えます。

 

日本人の子どもの平均的な成長曲線と、アメリカ人の子どもの平均的な成長曲線を比較すると、
日本人は早熟で、早く身長の伸びが止まってしまうことが分かります。
中学1年生どうしを比較しますと、日本人とアメリカ人の身長は、ほとんど同じです。
ところが、日本人は、高校に入ってからは、ほとんど伸びません。
日本人の子どもは、早熟なため、アメリカの子どもより早く骨が固まり、大人の身体になってしまい、15歳以降はほとんど伸びません。
これに対して、アメリカの子どもは、まだ大人の身体になっておらず身長は伸び続けるのです。

繰り返しになりますが、思春期のスパートを迎えるまでに、いくら身長が伸びたかが、成人に達した時点での身長の高い低いを決定するのです。

この思春期の伸びには、あまり個人差がないのです。
つまり、思春期の間は誰でもよく身長が伸びるのです。
成人に達した時の身長の差となるのは、思春期の伸びではなく、思春期以前の伸びなのです。
早めに思春期を迎えてしまうと、小児期が短くなってしまい、結果的に身長が伸びる期間が短くなり、十分に身長が伸びずに成人に達してしまいます。

 

 

思春期の発来は、遺伝や自然環境の影響を受けますし、人種による違いもあるようなので、発来の時期を人為的に遅らせることは、なかなか難しいようです。
しかし、思春期発来の時期はある程度はコントロール可能です。
肥満は、思春期の発来を早めますし(男の子の場合は思春期の発来は遅いという研究もあります。)、家庭環境や、社会環境も影響するようです。

また、近年では、環境ホルモンの影響も取りざたされています。

肥満の女の子の背の伸び方

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小学校低学年

太っている子は、はじめは背も高いのですが・・・

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小学校高学年

太った子は初潮を早く迎えるため、

背の伸びも早く止まってきます。

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中学校3年生

中学校に入ってからの背の伸びは少なく、

みんなに追い抜かれてしまいます。

 

 

 

子どもの身長を伸ばすには、睡眠、栄養、運動をバランスよくとることが重要です。
しかし、両親や周囲からの愛情をそそぎ、精神が安定した状態をつくってあげなければ身長は伸びません。
よって、睡眠、栄養、運動、愛情が子どもの身長を伸ばすには不可欠なのです。

 

 

以上、3回に渡って「子どもの身長を伸ばすためにはどうしたら良いのか?」についてお伝えしました。

 

ピークの時期に慌てて身長を伸ばす取り組みを実践するのではなく、乳幼児期・学童期にも睡眠、栄養、運動の3つ(成長三角形)をしっかりと考慮して、更に子どもには目一杯の愛情を注いでいただきたいと思います。

そして、栄養に関しては出生前から気をつけておくことも必要です。

 

子どもの身長を伸ばすためには、正しい知識が不可欠です。

 

『「身長を伸ばすために、食事の時にジュースをたくさん飲みなさい。」と指導している医療関係者がいて、それを信じ込んでしまっていると保護者も多い』、という話を聞いて由々しき事態と思ったのと同時に、子どもの身長に悩んでいる親御さんが多いということも実感しました。

 

今回のブログが、「子どもの身長を伸ばすためにはどうしたら良いのか?」について悩んでいる親御さん達の参考になりましたら幸いです。

 

子ども達の健康を守るには「正しい知識」と「正しい技術」と「正しい実践」が必要です。

かけがえのない子どもの成長のために、科学的に根拠もあり、正しいことを実践していただきたいと思います。

子どもの成長は待ったなしです。

毎日子どもは成長していますが、思春期を過ぎると成長は終わってしまいます。

成長できるタイムリミットは日々刻々と近づいているのです。

間違った方法に取り組んでしまったりと「回り道」している暇は無いのです。

あっという間に「小児期」という成長できる期間は終わってしまいます。

後悔のない子育てをしていただきたいと思います。

 

小児期に形成された良い生活習慣は、その子にとって、一生の宝となり、身長増加の上でも役に立ちます。
逆に、一旦悪い生活習慣が形成されてしまうと、そこから抜け出すのは容易なことではありません。

子どものうちからの良い生活習慣は、生涯に渡っての健康に繋がっていく、一生の財産となります。

 

子育てにたくさんの手間と愛情をかけていただきたいと思います。

手間をかけるためには、親の心にゆとりが必要です。
愛情というぬくもりが子どもの心を育てます。

 

今できることを子どものために精一杯してあげること。

その手間と愛情は必ず報われないといけないし、報われるべきです。

将来、その手間と愛情が報われるように、そして間違った方向に向かわないようにサポートをするために私達専門家は存在します。

 

子育てを頑張っている保護者を支えるために、当院はスタッフみんなで勉強しています

バタバタしている時もありますが、是非捕まえてご相談して下さい。

力になれると思います。

 

2022年10月09日 更新