厚生労働省認定 かかりつけ強化型診療所

きし歯科ファミリークリニックは
大分市賀来にある歯科医院です。

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むし歯予防のポイント

以前もブログでお伝えしていますが、子どものむし歯予防についての質問を受ける機会が最近多いので、ポイントをお伝えします。
 
むし歯予防には、 ①できるだけ感染の機会を減らし、遅らせる ②砂糖の量を減らす ③生活リズムを整える ④歯質を強化する

これらのことが大切です。
 
①できるだけ感染の機会を減らし、遅らせる

口腔内にむし歯の原因菌であるミュータンス連鎖球菌が検出されるのは1歳7ヶ月〜2歳7ヶ月の間で、「感染の窓」と呼ばれる時期です。

ミュータンス連鎖球菌の定着時期を約10ヵ月遅らせると、むし歯の発生率を半分に減少させることができるとされています。
このことから、ミュータンス連鎖球菌の感染の機会を減らし、感染の時期を遅らせることはむし歯予防の大切なポイントと言えますが、ミュータンス連鎖球菌だけがむし歯を起こすわけでないことも現在では分かっているため、むし歯を発症させる全ての細菌種の伝播を防ぐのが難しいこと、そして、伝播したとしても食事指導や、フッ化物の使用で発症が予防できるため、それほど神経質になる必要はないという考えが広がっています。
過度なむし歯原因菌の伝播予防は、親子関係を損なう可能性があることも理由の一つです。
1996年に発表された論文では、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカなどの各国のデータを集めて詳細に解析したところ、口の中のミュータンス連鎖球菌の数とむし歯の発生率にはあまり関係がなく、むし歯の発生は食生活によって大きく影響されると結論づけられています。



現在では、子どものむし歯予防のためには、菌がうつることよりも、食生活に気をつけることの方が重要とされています。
 
②砂糖の量を減らす

「砂糖の消費量とう蝕罹患率の年次変化について」のグラフは砂糖の摂取量はむし歯と強い関係にあることを如実に示しています。




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第二次世界大戦中は砂糖の消費が極端に減少しました。むし歯はそれを反映するように減少しています。そして高度経済成長とともに砂糖の消費量は増加し、その後むし歯も増加しました。
 
③生活リズムを整える

生活リズムを整えることで、子ども達が決まった時間にしっかりと食事をとり、よく遊び、良質の睡眠を獲得できるようになりますそれはむし歯予防においても重要なことです。大正時代からある婦人之友社主催の乳幼児グループでは、その頃から「早寝、早起き、朝ご飯」を全国に提唱続けてきました。 そこの子ども達はほとんどむし歯がなく、精神が極めて安定しているとのことです。

幼児期の生活リズムが、年齢が進む程にむし歯の数の差となって表れます。
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押さえつけて歯磨きをしても生活リズムが乱れていてはむし歯は発生します。歯磨きは大切ですが、デンタルプラークが100% 除去できるわけでは無いからです。むし歯の発生には砂糖の摂取量と生活リズム(時間)が大きく関与します
 

④歯質を強化する

フッ化物応用は歯質を強化するのに有効です。家庭でできるフッ素洗口法は持続できればかなり有効です。歯科医院でしかできないプロケアと家庭でのフッ素洗口でむし歯予防の相乗効果を期待することができます

 

 

 

小児のむし歯の罹患率は近年減少していますが、大人の忙しく余裕のない毎日が子ども達の健康に様々な悪影響を及ぼしていくことを再認識してもらう必要があると思います。
生活リズムや食生活の乱れ、お菓子やジュースが溢れかえっている現状を鑑みると、今後もこのむし歯の減少状態が続いていくのかが心配です。

 

歯が生えてからの歯医者さん通いではなく、お腹にいる時から母親への啓発指導は始まります。

授乳のこと、離乳食のこと、全身の発達、鼻呼吸の指導など我々が早期に介入すべきことはたくさんあります。

また、厚生労働省の歯科疾患実態調査は、あくまでも集団検診の結果を反映したものです。最近増加している隣接面のむし歯は視診のみでは発見できません。定期検診の重要性とレントゲン診査による隣接面のむし歯のチェックは極めて重要です。


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     ⬆︎   隣接面のむし歯


 
子どもは、間違った方向に行ってしまうのも早い代わりに、早期に正しい介入をすることで軌道修正できるのも特徴です。
正しい方向に導ける歯科医療従事者になれるよう日々研鑽を積んでいきたいと切に思っています。

2023年01月26日 更新

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