知っていますか？「口腔機能低下症」
「口腔機能低下症」って知っていますか？
「この頃ちょっと食べ物が飲み込みにくくなった」「口の中が乾きやすくなった」といったようなことはありませんか？そうした症状が、まさに「口腔機能低下症」に含まれるものなのです。
一口に「口腔機能低下症」といっても、様々な症状があります。
例えば・・・以前と比べて、
➀食べ物が噛みづらい
➁食べ物が口に残ってしまうようになってきた
➂食事の時、むせやすくなった
➃薬を飲みにくくなってきた
➄口の中が乾く
➅滑舌が悪くなってきた
➆硬いものが食べにくい
➇食事の時間が長くなってきた
といった症状が、口腔機能低下症の代表例です。
こうした症状から分かるように、「口腔機能低下症」とは、口の中の様々な機能が低くなってきている症状の病気のことで、誰もがかかりやすく、注意が必要なものなのです。
口腔機能低下症は、症状も多岐にわたるため、原因も様々ですが、まず一番の原因は「加齢」です。年齢を重ねると、口の中の「感覚」や「咀嚼」「飲み込み」「唾液の分泌」などが徐々に低下してきます。そうしたひとつひとつが、口腔機能低下症の症状を起こしていきます。
もちろん、むし歯や歯周病などで歯を失ったり、義歯が合っていなかったり、といったことも症状の原因になっていきます。全身の様々な病気によっても口の中の機能は低下しやすくなります。それ以外にも、何かの病気のために投与された薬の副作用や、栄養が行き届かない状態なども関係します。
つまり口の中の機能低下は、様々な要因が複合的に影響してきます。生活全体、自分の体調や健康管理といったものへのケアと、口腔機能へのケアは密接に結びついているのです。そして、口の中の機能が低下することは、決して軽く考えてはいけません。
口腔機能低下症が進行すると、全身的な健康が損なわれていきます。放置すると、なにより食べることが楽しくなくなり、外出も楽しくなくなって人との交流も少なくなり、より一層外出しなくなってしまいがちです。タンパク質を多く含む肉類を食べなくなり、ひいては筋力が減り、体力も弱っていきます。筋肉が落ちると日常的な動作に支障をきたし、歩いたり、階段を上るのが辛くなり、外出もさらに減っていきます。
このように、お口が弱ってくることは、全身が弱ってくることに直結し、日常生活に支障をきたしてしまいかねないのです。口の中の機能低下があまりに進行してしまうと、もはや元に戻ることはできません。口腔機能低下症は自分が気が付かないうちに進行します。症状のある方は勿論ですが、症状のない方でも65歳を過ぎたら定期的な検査をして早め早めのケアをお薦めします。
口腔機能低下症の診断の為の検査ですが、口腔機能低下症の症状は多岐に渡りトータルに捉える必要がある為、検査も様々な項目で確認していきます。
どんなことをするのか、簡単にご紹介します。
まずは口の中の衛生状態をチェックします。「舌苔」とよばれる、舌の表面からはがれた垢の付いている量を測ります。
次は、口の中がどれくらい乾燥しているのかをチェックします。口腔水分計で湿り気を測ったり、ガーゼを噛んでもらって唾液の量を測定したりします。
3つ目は、噛む力を測定します。4つ目は、舌や唇の運動機能をみる検査をします。
さらに、舌圧と呼ばれる、舌と上顎との間に作られる圧力を測ります。これが低下すると食べ物を舌でうまく送り込めなくなるからです。
6つ目は、咀嚼機能の検査。食べ物が上手に噛めているかを調べます。
そして最後に、飲み込みの検査。うまく食べ物を飲み込めるか、飲み込みに時間がかかっていないかどうかを調べます。
これら7つの検査のうち3つ以上に問題があるようであれば、口腔機能が低下している、という診断になります。
口腔機能検査測定機器
※当院は各種口腔機能検査測定機器を揃えています。
口腔機能低下症の程度は患者さんそれぞれで異なりますので、口腔機能低下を食い止める方法・計画も、歯科医院のスタッフと一緒に練りながら考えていきましょう。
検査によってケアすべきポイントが明確になれば、歯科治療だけでなく、食事の際の食べ物の選定や食事の仕方、食べる際の道具のチョイスなど、食全体を考えた栄養指導、生活指導をしてもらえるはずです。
ご自身の生活環境や全身状態を把握し、口腔機能を適切に管理することはとても大切なことと言えます。口腔機能低下の重症化を予防するため、中年期から継続的に口腔機能の診断と口腔管理の指導を受けることで口腔機能を維持、回復することが可能となります。
健康寿命延伸のためには口腔機能の維持が欠かせません！
歯科医院に行きましょう！
2024年07月21日 更新
