「よく噛むこと」と子どもの知能・認知機能には関係がある?

「よく噛んで食べましょう」
子どもの頃、一度は言われたことがあるのではないでしょうか。
よく噛むことは、食べ物を細かくして消化しやすくしたり、顎の成長を促したりするために大切です。
しかし近年、さらに興味深いことが分かってきています。
「噛むこと」や「口腔機能」と、脳の働き・認知機能との間に関連がある可能性が、さまざまな研究で報告されているのです。

「噛む力」と知能には関係がある?
実は日本では、1980年代から子どもの咀嚼機能と知能との関係について研究が行われています。
1987年に報告された小児を対象とした研究では、咀嚼機能と知能検査との関連が調べられ、その後の研究でも咬合力と知能検査との関連が検討されています。

こうした研究から、
噛むことは、単に食べ物を食べるためだけの運動ではなく、脳への刺激という面からも重要なのではないか
と考えられるようになりました。
※「よく噛めばIQが10上がる」
「口腔機能が悪いとIQが10下がる」
という因果関係が証明されたわけではありませんが、関連があることは間違いないと言えます。
噛んでいるとき、脳も働いています
私たちが「噛む」とき、動いているのは顎だけではありません。
咀嚼に伴って脳のさまざまな領域が活動することが、脳機能を調べる研究から分かっています。
そして近年のシステマティックレビュー・メタ解析でも、咀嚼能力が低いことや歯の喪失などと、認知機能低下との関連が報告されています。

つまり、
「噛む」という行為は、口だけで完結するものではなく、脳と深く関わる複雑な運動なのです。
子どもの「お口の発達」は、ことばの発達にもつながっています
子どもの口腔機能を考えるとき、「噛む」だけを見るのでは十分ではありません。
唇を閉じる。
舌を動かす。
食べ物を噛む。
上手に飲み込む。
鼻で呼吸する。
そして、ことばを話す。
こうした機能は、それぞれ独立して発達するわけではありません。
乳幼児を対象とした研究では、口唇や舌、顎などの口腔顔面運動の発達と、認知・言語発達との関連も報告されています。

食べること、話すこと、呼吸すること。
子どもの成長において、「お口」は非常に多くの役割を担っているのです。
「むし歯がない」だけではなく、「しっかり機能するお口」へ
これまで歯科医院では、
「むし歯がない」
「歯肉が健康」
「歯並びがきれい」
といったことが重視されてきました。
もちろん、どれも大切です。
しかし、これからの小児歯科では、それだけではなく、
「しっかり噛める」
「正しく飲み込める」
「舌や唇を上手に使える」
「鼻で呼吸できる」
といった口腔機能そのものを育てることも、とても重要だと私たちは考えています。
口腔機能を育てることは、単に「きれいな歯並びをつくるため」だけではありません。
食べる。
話す。
呼吸する。
表情をつくる。
そして、それらを支える脳や身体の発達。
お口を育てることは、子どもの健やかな成長の土台づくりの一つです。
きし歯科ファミリークリニックでは、歯だけを見るのではなく、お子さんの成長や口腔機能にも目を向けながら、将来の健康につながるサポートを行っています。
子どもの可能性を広げるために。
「歯」だけではなく、「お口の機能」まで育てていきましょう。
参考文献
・Funakoshi M, et al. J Gifu Dent Soc. 1987;14(1):17-29.
・Funakoshi M, et al. J Gifu Dent Soc. 1988;15:392-398.
・Kimura Y, et al. Int J Environ Res Public Health. 2023;20(9):5751.
・Tomisaki E, et al. Early Hum Dev. 2011;87(4):299-305.
2026年08月27日 更新






